危険日とは?妊娠しやすい時期と避妊・妊活に役立つ基礎知識【医師監修】
「危険日」とは妊娠する可能性が高い数日間のことを指します。妊娠を望まない場合によく使われる言葉ですが、医学的には「妊娠しやすい時期」と表現されることが多く、「危険日」はあくまで一般的な呼び方です。こうした身体の仕組みを理解しておくことは、正しい避妊や妊娠計画を立てるうえでとても大切です。
そもそも妊娠は、排卵のタイミングで卵子と精子が出会い受精して着床することで成立します。
卵子の寿命は排卵後およそ24時間と短い一方で、精子は女性の体内で2〜3日ほど生きられます。よって排卵の2日前から排卵日当日にかけてが最も卵子と精子が出会いやすい時期、すなわち「危険日」です。
ただし排卵のタイミングは体調やストレス、生活リズムの変化などで前後にずれることもあります。そのため、危険日を避ければ絶対に妊娠しないというわけではありません。自分の身体のリズムを知り正確に把握することが大切です。
「安全日」は妊娠しないって本当?
「危険日」と対になる言葉に「安全日」があります。これも一般的には、妊娠の可能性が低いとされる時期のことを指し、排卵が終わったあとの数日間や生理が終わった直後の卵子がまだ成熟していない時期を意味しています。
しかしこちらも「危険日」と同様に、ホルモンバランスやストレスなどで前後する可能性があります。特に月経周期が不安定な方や、睡眠不足や体調不良があった月は排卵が早まる・遅れることも珍しくありません。そのため「安全日」や「危険日」という言葉だけを避妊の目安として使うのは非常にリスクがあります。
カレンダーで計算したり、専用のアプリを活用することでおおよその身体のリズムを知ることはできます。ただし、あくまで予測であり精度に限界はあります。妊娠の可能性を完全に防ぐ方法ではなく、安全日でも妊娠する可能性はあることを踏まえておくと良いでしょう。

妊娠を望むか望まないかによって、この時期の意味は大きく変わります。目的に合わせて正しい知識を持つこと、自分の身体のサインに気づけることがとても大切です。
避妊の確実性を高めるためには、周期に関係なくコンドームや低用量ピルの使用が推奨されています。
排卵日と受精可能な時間
上では排卵日とその前後が「危険日」にあたることを説明しました。ここでは、その中心となる排卵日について詳しく解説していきます。
排卵日とは、卵巣から成熟した卵子が放出される日のことを指します。卵子の寿命は排卵後およそ24時間とされており、この短い時間内に精子と出会うことで受精が成立します。
たとえば月経周期が28日の人の場合、排卵日は次の生理予定日の約14日前が目安とされています。しかしストレスや睡眠不足、わずかな体調の変化などによっても排卵のタイミングは前後にずれることがあります。
そのため、正確な排卵日を知るためには基礎体温の記録や排卵検査薬の活用が有効です。こうした方法を組み合わせて自分のリズムを把握することで、「妊娠しやすい時期=危険日」をより正確に理解できるようになります。
妊活中なら「危険日」はチャンスの日
一方で、妊娠を望んでいる場合にはこの「危険日」はまさに妊娠のチャンスとなる時期でもあります。排卵の前後は、卵子と精子が出会いやすく受精が成立しやすいタイミングです。排卵日とその前後を狙って性交を行うことで、受精の可能性が高まります。
妊活を効率的に行うためには、基礎体温の記録や排卵検査薬を使用するといいでしょう。生活習慣や栄養管理、ストレス対策ができるので排卵の安定や身体のコンディションを整えて妊娠のチャンスを最大化できます。
妊娠を望む人も望まない人も、目的に応じて上手に活かしていきましょう。

だからこそ、「排卵検査薬」「基礎体温」「身体の変化(おりものなど)」これらを組み合わせることで、身体のリズムに気づけるようになります。
妊娠を望んでいる方にとってはチャンスの時期ですが、避妊したい場合は逆に注意が必要な期間でもあります。目的に合わせてうまく活用していきましょう。
危険日を正確に知るための3つの方法
危険日を知るためには、まず自分の身体のサイクルを知ることから始まります。生理周期や体温、排卵のサインを観察することで、おおよそのタイミングを予測できるようになります。ここでは主な3つの方法を紹介します。
① 生理周期から計算する方法
危険日を知る最も基本的な方法は、生理周期から排卵日を予測するやり方です。 一般的に排卵は次の生理予定日の約14日前に起こるとされています。 たとえば生理周期が28日の人であれば、排卵日はその14日前が目安になります。 この排卵日とその前後2〜3日を含めた約5〜6日間が、いわゆる「危険日(妊娠しやすい時期)」と考えられます。
ただしこの方法は生理周期が規則的な人であれば参考にできますが、生理周期が不規則な場合はこの通りには行きません。生理不順の場合は排卵のタイミングも毎月ずれることが考えられるため、数日〜1週間以上の誤差が生じることもあります。そのため、正確に危険日を把握するためには基礎体温の記録や排卵検査薬の併用がおすすめです。
② 基礎体温で排卵日を予測する方法
危険日をより正確に知るためには基礎体温の記録も有効です。基礎体温とは、朝目覚めた直後に測る体温のことです。身体を動かす前に測るのでホルモンバランスの影響で上下する体温の変化を記録することができます。
一般的に排卵が起こると女性の体温が0.3〜0.5℃ほど上昇し、高温期に移行します。そのため、低温期から高温期に切り替わる直前の日が排卵日の目安と考えられます。
毎朝基礎体温を測ってグラフに記録すると、自分の身体のリズムが少しずつ見えてきます。変化のグラフを数か月分まとめて見ると自分の排卵パターンをより正確に把握できるでしょう。ただし、この方法も体調の変化や測定時間のずれなどで誤差は生じます。毎月完璧に正確な排卵日を特定できるわけではないので、あくまで判断材料のひとつとして参考にしましょう。
③ 排卵検査薬を使う方法
より確実に排卵のタイミングを知りたい場合は、排卵検査薬を使う方法が効果的です。
排卵検査薬は、尿中の「LH(黄体形成ホルモン)」の濃度を測定することで、排卵の約1〜2日前を予測できる仕組みです。 LHは排卵直前に急上昇するため、陽性反応が出たタイミングで性行為を行うと妊娠の可能性が最も高くなります。
市販の検査薬はドラッグストアやネットでも購入でき、使用方法も簡単です。複数日連続で測定するとより正確に排卵日を把握できます。ただし検査薬によって感度が異なるため、使用前には説明書をよく確認してください。
以上3つの方法をバランスよく併用して使うことでより精度の高い危険日予測が可能になります。


そのため、妊娠を望まない場合は排卵日予測だけに頼るのではなく、避妊方法を併用することが大切です。逆に妊娠を希望する場合は、継続的にデータを記録しながら身体のパターンを把握していくことで、より良い結果につながります。
ピル処方を活用した避妊の新しい選択肢
最近では、ピルを使った避妊方法が広く知られるようになりました。なかでも注目されているのが、自宅にいながらピルを受け取れる「オンラインピル処方」です。
婦人科の受診に抵抗がある方や、忙しくて通院が難しい方でも、自分のペースで服用を始められるようになりました。ここでは、オンラインピル処方の仕組みや流れについて解説します。
オンラインピル処方とは?
オンラインピル処方とは、スマートフォンやパソコンを使って医師の診察を受けて避妊ピルを自宅に取り寄せられるサービスのことです。従来のように婦人科へ通う必要がなく、好きな時間・場所から診察を受けられます。
忙しくて病院に行けない方やレディースクリニックや婦人科の受診に抵抗がある方でもプライバシーを守りながら診察を受けられるため、新しい選択肢として注目されています。
オンライン診療での流れと費用の目安
オンラインピルの診療は一般的に次のような流れで進みます。
1. 診療の予約
ピル処方を希望する場合、まずはクリニックの公式サイトで診療予約を取ります。クリニックによって取り扱っているピルの種類や価格、到着までの時間が異なるので比較して自分の希望に合う病院を探しましょう。
2.診療
診察当日は、スマホやパソコンのビデオ通話を通して医師が問診し、体調や服薬歴を確認したうえで最適なピルを提案します。(※オンラインの場合も必ず医師の診察を経て処方されます。)
3.ピルの処方と受け取り
診察の結果、ピルの処方が決定すると自宅へ配送されます。プライバシーに配慮したパッケージで届けてくれる病院もあり、家族や同居人に知られずに受け取れるのも安心ポイントです。
オンラインピル処方の費用の目安は、診察料が無料〜2,000円程度、ピル代は1か月あたり2,000〜4,000円ほどです。クリニックによっては定期配送の割引プランもあるので、通院にかかる交通費や時間を考えると経済的にもメリットがあります。(※2025年現在の参考価格)
オンラインピル処方はどんな人におすすめ?
オンラインピル処方は、さまざまなライフスタイルの人に適しています。仕事や学業で忙しくて病院へ行く時間が取りにくい人。周りの目を気にせず相談したい人。あるいは医師にしっかりと説明を聞きながら自分に合う種類を選びたい人にも安心です。地方や離島など、通院が難しい地域に住む人にも便利でしょう。
「時間と場所を選ばず手軽」というメリットがあるオンライン処方ですが、もちろん医師との診察はあります。体調や生活リズムに合わせたピルを安全に選ぶことができるのが、オンライン診療の最大の魅力です。医師の指導の元、自分のペースで無理なく避妊と健康管理を続けることができます。


オンライン処方は選択肢を広げる便利な仕組みですが、自己判断だけで服用を継続したり、体調変化を放置することは避けましょう。医師と相談しながら、自分の身体に合った方法で無理なく続けていくことが大切です。
自分を守るため危険日は正しく知ろう
「危険日」と聞くとなんとなくネガティブな印象を受ける人も多いかもしれません。しかし排卵や月経周期を正しく知ることは、避妊だけでなく将来の妊娠を望む際にも非常に大切です。
最近ではオンライン診療を通じて、医師に相談できる環境が整っています。不安に思うことがあればスマートフォンやPCから婦人科医に相談してみましょう。必要であれば自分の体調や生活リズムに合ったピルを処方してもらうこともできます。
また自分で基礎体温を測ったり排卵検査薬を使用すれば、次の排卵日や危険日を予測できます。オンライン診療と自身での管理を上手に組み合わせることで身体のリズムをより正確に把握し、体調の変化に合わせた行動がとれるようになります。
大切なのは感覚や噂に頼らず「正しい知識」で自分の周期を知ることです。医師に相談しながら自分に合った避妊やケアを選ぶことで、不安なまま過ごしてしまう日々を解消できます。危険日を正しく知ることは、自分の身体を大切にするための第一歩といえるでしょう。
排卵日を軸に“妊娠しやすい期間(受精可能期間)”を日別に示した代表的研究
Wilcox AJ, Weinberg CR, Baird DD.
Timing of sexual intercourse in relation to ovulation.
New England Journal of Medicine. 1995;333(23):1517–1521.
PMID: 7477165
「性交から排卵までの日数」と妊娠確率の関係(精子生存を踏まえた日別確率)
Ferreira-Poblete A, et al.
Probability of pregnancy in relation to the timing of intercourse.
Contraception. 1997;56(2):67–72.
PMID: 9288325
周期長と排卵タイミングのばらつき(“次の生理14日前”が常に当たるわけではない)
Sohda S, et al.
Variability of ovulation timing and implications for fertility awareness.
PLoS ONE. 2017;12(12):e0189494.
PMID: 29180346
月経・排卵予測アプリの情報品質や医学的妥当性に関する評価(過信注意の根拠に使える)
Starling MS, Kandel Z, Haile L, Simmons RG.
Assessment of fertility tracking apps for ovulation prediction.
Obstetrics & Gynecology. 2018;132(4):951–958.
PMID: 30050917
超音波・臨床運用と尿LHサージのタイミング比較(“LH陽性=排卵が近い”の説明に)
Martinez AR, Bernardus RE, Schoemaker J.
Prediction of the fertile period by urinary luteinizing hormone measurement.
Human Reproduction. 1991;6(9):1244–1248.
PMID: 1752926
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