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知っておきたい“自分に合う避妊”の選び方【医師監修】低用量ピル・アフターピル・IUSを徹底解説

避妊の話題はなんとなく触れにくい印象を持つ女性も多いかもしれません。しかし、避妊は女性が自分の身体や人生を守るための大切な知識です。

とくに現代の女性は、仕事や恋愛、人間関係、人生設計など、日々たくさんの選択を迫られています。妊娠や出産を望むタイミングも人それぞれ。「今はまだ子どものことは考えていない」「仕事が落ち着いてから」「将来は持ちたいけれどまだ予定はない」など、女性ひとりひとりが自分自身のタイミングや気持ちを抱えています。

しかし避妊の知識が十分ではなかったために、望まない妊娠の不安に振り回されてしまうケースも少なくありません。
避妊方法にはたくさんの種類があり、仕組みもメリットも、ライフスタイルとの相性も異なります。この記事では、避妊を「特別なこと」や「話しづらいこと」ではなく、「人生設計のための選択肢」としてとらえ、一つひとつの方法を詳しく解説していきます。全員に当てはまる完璧な避妊方法はありません。大切なのは、選択肢を知り、あなたの生活や体質、価値観に合った方法を選ぶことです。

石崎先生
避妊方法にはさまざまな種類があり、それぞれに特徴や向き不向きがあります。「これさえ選べば正解」というものではなく、その人の体質・生活リズム・将来の希望によって、適した選択肢は変わります。
石崎先生
大切なのは、誰かの経験談やイメージだけで判断せず、医学的な情報をもとに自分に合った方法を選ぶことです。同じ方法でも「合う人」「合わない人」が存在するため、試しながら調整していく姿勢が必要な場合もあります。
石崎先生
また、避妊は単に「妊娠を避けるための手段」ではなく、自分の心身の健康や人生設計を尊重するための選択でもあります。不安がある場合や迷ったときは、一人で抱え込まず医師に相談してください。医療者の役割は、「選ばせること」ではなく、「あなたが納得して選べるようサポートすること」です。

避妊方法にはどんな種類がある?

避妊方法は、大きく分けるといくつかのジャンルに分類されます。

避妊方法のなかでも有名なものとしてコンドームが挙げられますが、毎日服用することで避妊効果のある低用量ピルや、もしもの時の緊急手段となるアフターピル、数年単位で避妊が続く子宮内避妊具(IUD・IUS)、そして身体のリズムに基づく自然法など、さまざまな方法があります。

どの方法が適しているかは、年齢、体質、生活スタイル、将来の妊娠希望、パートナーとの関係などによって変わるので、まずはそれぞれの特徴を知り、自分にあった避妊方法を探すことから始めてみてください。

たとえば毎日同じ時間に薬を服用できる方には低用量ピルが向いていますし、不規則な仕事や薬を飲むのに支障がある方はIUSのような長期避妊が合っているかもしれません。また、性感染症対策を優先するのであればコンドームは欠かせません。

このように避妊方法はひとつ知っていればいいものではなく、それぞれの特徴を理解した上で自分の生活に合ったものを選ぶ必要があります。

ここからは、代表的な「バリア法」「ホルモン避妊」「IUS」「自然法」の4つの避妊方法について解説していきます。

石崎先生
避妊方法にはさまざまな種類があり、それぞれにメリットや注意点があります。どの方法が最適かは、年齢や持病、生活リズム、妊娠の希望時期などによって異なります。同じ方法でも、人によって合う場合と負担になる場合があるため、「どれが一番良いか」ではなく、「自分にとってどれが続けやすく安全か」という視点が大切です。
石崎先生
低用量ピルは避妊効果が高く、月経症状の改善にも役立つため選択される方が多い方法のひとつです。しかし、服用習慣が必要であったり、まれに副作用が起こることがあります。服用開始前や継続中は、体調変化に気づけるよう意識し、不安や疑問がある場合は遠慮なく相談してください。
石崎先生
避妊は「知識があるほど選択肢が増える」テーマです。焦らず、自分のペースで比較しながら、自身の健康状態や生活に合った方法を見つけていきましょう。

バリア法:取り入れやすい代表的な避妊方法

バリア法とはコンドームに代表される、精子を物理的にブロックすることで妊娠を避ける方法です。薬を服用する避妊方法ではないため体の負担や副作用が少なく、誰でもすぐに利用できるメリットがあります。

さらにコンドームは避妊効果が高いだけではなく、性感染症の予防にも役立つ唯一の方法です。正しく装着すれば、妊娠と感染症の両方を防ぐことができるのです。
ただし、コンドームの場合避妊の主体が男性側にあるので「正しく装着できていなかった」「つけてくれない」などのリスクもあります。使用中に敗れてしまう可能性もゼロではありません。

したがって、女性自身もほかの避妊方法を併用したり性交後に服用するアフターピルの知識を持っていると万が一のトラブルにも慌てずに対応できます。

女性主体で使えるバリア法も

日本ではまだあまり普及していませんが、女性が主体的に使えるバリア法の避妊具も存在します。代表的なのは女性用コンドームやダイアフラムで、どちらも自分で装着して精子の侵入を防ぐ仕組みです。

女性用コンドームは袋状の器具を膣内に装着することで、性交時に精子が子宮に到達するのを物理的に阻止します。また、ダイアフラムは柔らかいシリコン製のカップで子宮頸部を覆うように挿入することで精子の通過を防ぎます。どちらもホルモンを使用しないため、体への影響や副作用が少ない点が特徴です。

女性自身が器具を正しく扱う必要があるので、装着に慣れるまでは練習が必要です。特にダイアフラムはサイズやフィッティングが重要で、医療機関での確認や指導を受けることが推奨されています。

ホルモン避妊:毎日の服用で高い避妊効果

ホルモン避妊とは、女性ホルモンであるエストロゲン・プロゲスチンを補うことで、高い避妊効果を発揮する方法です。代表的なものには低容量ピルがあり、世界的に見ると最も最も選ばれている避妊方法です。日本でも普及してきており、病院で処方してもらったりオンライン診療で処方してもらうことも可能です。

低用量ピルは毎日決まった時間に服用することで、避妊効果は99%以上と非常に高いものになります。さらに避妊以外にも、生理痛の軽減、経血量の減少、ニキビの改善、PMSの緩和、生理不順の改善などホルモンバランスの乱れによる女性特有の悩みも改善してくれます。低容量ピルの服用をやめると身体はだんだんと自然周期に戻るので、妊娠の妨げにもなりません。

副作用として、飲み始めに吐き気や頭痛を感じる場合がありますが1〜3か月ほど飲み続けると、ほとんどの方は症状が次第におさまっていきます。また、わずかですが服用中は血栓症のリスクが上昇するといわれています。喫煙者や高齢の方、特定の体質の方は医師とよく相談してから服用してください。

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緊急避妊薬はどんなときに使う?

ピルのなかでもアフターピルと呼ばれる緊急避妊薬は、避妊の失敗や予期せぬ性交渉があった際に妊娠の可能性を下げるための緊急手段です。排卵を遅らせたり、受精や着床の妨げに繋がる働きがあるので、指定された時間内に服用することで避妊効果を発揮します。

ただし毎日服用する低容量ピルとは異なり、あくまで「緊急用」で普段の避妊として使うものではありません。
服用後の一般的な副作用としては、吐き気や頭痛、倦怠感、眠気などがありますが、多くは短期間でおさまります。また生理がずれたり一時的に不正出血が見られることもあります。

低容量ピルと同様に、アフターピルもオンライン診療で処方してもらうことができるようになりました。
緊急避妊薬は自分には無関係だと感じる女性も多いかもしれません。しかし、使用する可能性の有無にかかわらず、知識として知っておくことは大切です。

石崎先生
緊急避妊薬は、避妊がうまくいかなかったときに妊娠の可能性を下げるための手段です。必要な場面では適切な選択ですが、あくまで「緊急用」であり、普段の避妊方法として使うものではありません。正しい知識をもっておくことで、万が一の場合も落ち着いて対処できるようになります。

IUS:一度で長期避妊が可能

IUS(ホルモン子宮内システム)は、子宮内に小さな器具を入れ、微量のホルモンを継続的に放出することで避妊する方法です。一度挿入すれば数年間効果が持続するので、生活の中で意識する必要がほとんどなく、手間もかからないメリットがあります。

ホルモンが子宮内に局所的に作用するので、副作用や血栓症のリスクも低いとされています。またホルモンバランスが整うため経血量が減ったり、生理痛の改善にも役立ちます。

挿入時には若干の痛みを感じる場合があるので、医師と相談しながら適切なタイミングで行いましょう。

自然法:身体のリズムで避妊を考える

自然法では、薬や器具を使用せず、自分の排卵日や生理周期を予測して妊娠しにくい時期を見極めます。身体のリズムを観察することが前提となり、副作用の心配がないため、自分の体の変化を知る手がかりにもなります。

自然法にはいくつか種類があり、生理周期の規則性をもとに排卵日を予測する「カレンダー法」、日々の基礎体温の変化から排卵後を判断する「基礎体温法」が代表的です。ほかにも、おりものの量や粘りといった性状の変化から排卵期を読み取る「頸管粘液法」、さらにこれらの情報に腹痛や乳房の張りなどの体の症状も重ね合わせてより精度を高める「症状法」があります。

しかし実際には自然法だけでは避妊方法としての信頼性が高いとは言えません。排卵日はストレスや体調不良、睡眠不足の変化などに影響されやすく、予定通りに起こらないことも多いので自然法の予測だけでは妊娠のリスクが残ります。

身体に負担をかけずに自分のリズムを知れるのは大きなメリットですが、確実に避妊したい場合は自然法を単独で用いるのではなく、ピルやコンドームなど他の避妊方法と併用してください。あくまでも補助的に活用することが現実的です。

石崎先生:避妊方法には、それぞれ特徴や向き不向きがあります。同じ方法でも、ある人には負担が少なく続けやすい一方で、別の人には合わない場合もあります。どの方法が正しいかではなく、「ご自身の体調や生活に無理なく続けられるか」が大切です。
迷ったときや不安がある場合は、一人で判断せず医師に相談してください。状況に合わせて方法を調整しながら、安心して続けられる選択を見つけていきましょう。

避妊方法を選ぶときに大切な考え方

避妊はしばしば「女性が自分の身体を守るための手段」として語られがちですが、実際にはパートナーと二人で考え協力して行うべきテーマです。軽く考えず、不安な点がある時はパートナーだけでなく医師にも相談しましょう。

結局どの避妊方法が良いの?

この記事では4つの避妊方法をご紹介しましたが、結論「全員にとって最適な避妊方法」はありません。あなた自身の身体の状態や生活リズム、価値観、そして将来のライフプランによって最適な方法は変わります。

例えば、毎日決まった時間に薬を服用することが難しい場合は低用量ピル以外の方法を検討したほうが安心ですし、痛みに弱い場合や身体への負担を最小限にしたい場合はバリア法やIUSなどが向いているかもしれません。

また避妊成功率の重視度や将来いつ妊娠したいかというタイミングも、方法選びに大きく影響します。どれか一つに限定する必要はないので、自分に合う方法を併用してより高い避妊効果を得る様に心がけてみてください。

石崎先生
避妊方法は、誰かの正解を真似するものではなく、ご自身の体質や生活リズムに合わせて選ぶものです。悩むのは自然なことなので、無理に一つに決めようとする必要はありません。迷ったときは医療者と相談しながら、負担が少なく続けやすい方法を選んでいきましょう。

パートナーと一緒に考える避妊の大切さ

避妊についてパートナーと話し合うことは恥ずかしいことではありません。むしろ、パートナーとの関係をより深くするための重要なテーマだと言えるでしょう。
避妊の結果は二人に関わる問題であるため、男性も女性も相手に任せきりにせず、自分でコントロールできる避妊方法を持つことが大切です。お互いに空気に流されず、きちんと向き合って話してみてください。

石崎先生
避妊は誰か一方だけの負担や責任ではありません。話しにくいと感じるテーマほど、パートナーと共有することで安心感や信頼につながります。自分の身体を守る選択をしながら、相手と協力して考える姿勢が大切です。

困ったら医師に相談してみる

もちろん避妊について不安な部分があるなら、医師へ相談してみるのもおすすめです。特に、オンライン診療なら時間や場所を気にせず診療を受けることができます。婦人科に行くのに抵抗がある方でも自宅から医師に直接相談ができるので、受診のストレスもぐっと抑えることができるでしょう。

まとめ

避妊の知識を持つことは、自分の心と身体を守り、将来の不安を少なくするために大切なテーマです。

現代はオンライン診療などで、誰でも安心して相談できるようになりました。一人で悩まず、医師や専門家の力を借りながら自分にとって最適な避妊方法を選んでみてください。併せて、パートナーともオープンに相談できる関係性を作っておくのも、将来のための大切な一歩です。

この記事を監修した医師

石崎 歩

あゆむクリニック 医師

1996年、東京都生まれ。ホルモンバランス・再生医療を専門とし、科学的根拠に基づいた「カラダと心の両面から女性を支える医療」を実践。女性のライフステージに寄り添い、美と健康の両立を支える診療を行っている。

この記事を書いた人

Takase Haruka

Takase Haruka

ユアピルのライター。女性のからだや心に関するテーマを中心に、正確で信頼できる情報をお届けします。専門家の意見や最新データを踏まえながら読者が安心して学べる記事づくりを心がけています。情報を通して自分らしい選択を支えるお手伝いができればと思います。

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