ピルってなに?あなたの悩みを解決するピルの効果と種類を解説
毎月の生理痛やPMS、避妊への不安、繰り返す肌荒れ。女性の悩みにピルが効くと聞いていても、たくさんあるピルの中からどれを選べばいいかわからない方も多いのではないでしょうか。
ピルには目的に合わせた複数のタイプがあります。避妊、生理痛やPMSの軽減、肌荒れの改善など、目的に合わせて選ぶことで、毎日をより快適に過ごすことができるようになります。
この記事では、日々のモヤモヤや悩みの原因や、それらに対してどのピルが解決につながるのかを分かりやすく整理しました。この記事で、あなたのお悩みにあったピルが見つかるようお手伝いします。
ピルって何?基礎知識と作用機序
ピルとは本来、英語で「錠剤」を意味しますが、日本では一般的に「経口避妊薬」のことを指します。避妊のための薬という印象を持たれがちですが、生理痛やPMS(月経前症候群)、肌荒れの改善など幅広い目的でも用いられます。
日常的に使われるのは超低用量ピルや低用量ピル。避妊効果が高いだけでなく、生理痛やホルモンバランス由来の不調をやわらげる目的で処方されることもあります。
このほか、生理日の調整に使う中用量ピル、避妊に失敗したときの緊急手段であるアフターピルなど、用途は多岐にわたります。
では、なぜ超低用量ピルや低用量ピルを飲むと避妊や症状の改善につながるのでしょうか。ポイントはホルモンを安定させる仕組みです。
毎日ピルを服用することで、排卵を抑える、精子を通りにくくする、子宮内膜を厚くなりにくく保つという3つの作用が働きます。これにより、避妊はもちろん、PMSや生理痛、肌荒れなどの改善が期待できるのです。
ピルの服用により体内のホルモンが一定に保たれるようになると、あなたのお悩みも解消されるかもしれません。
多くの女性が抱える日々の悩み
さまざまな女性特有の悩みは、日々変動するホルモンが影響している可能性があります。その場合はピルによってホルモン変動を安定させることで、不調がやわらぎ、改善につながるでしょう。ここからは、ピルで解決できるホルモン由来のお悩みをご紹介します。
避妊の不安
妊娠を望んでいない方の中には、避妊が失敗した可能性を心配して毎月不安になる女性も多いのではないでしょうか。そのような方におすすめなのが、女性が主体的に避妊できるピルです。
ピルを利用することでパートナー任せではなく、自分で避妊をコントロールでき、安心して過ごしやすくなります。
身体のだるさ
生理周期によって、日常生活にも支障が出ることがありませんか?身体のだるさはホルモン変化や自律神経の乱れが原因で起こっている可能性があります。
その場合、ピルでホルモンの波を安定させると身体が軽く感じられるようになるでしょう。ホルモン量が安定すると、体調の波が少なくなり、日常生活が過ごしやすくなります。
感情の揺れ
生理前になると涙が止まらなくなったり、ついパートナーにきつく当たってしまったりすることもあるのではないでしょうか。そんな時、自分を責めて苦しくなってしまいますよね。心のコントロールが難しくなるのは、性格の問題ではなく、排卵後に増えるホルモンの影響なのです。
そんな方は、ピルを服用することでホルモンバランスが一定に保たれ、感情の波をなだらかにしやすくなります。生理前になっても気分の落ち込みが少ない生活は、気持ちが安定し、日常生活や対人関係などの満足度が高まります。
重い生理痛
鎮痛薬を飲んでも動けないほど重い生理痛で、生理痛により学校や会社を休まなければいけなかったり、大切な予定をキャンセルした経験があるかもしれません。
ピルを服用し、排卵を抑えて子宮内膜を薄く保つことで、生理痛による痛みが軽減されます。生理時に身体が楽になることで、予定の調整や気持ちの負担も軽くなるでしょう。
肌荒れやニキビ
大事な日にかぎってニキビができてしまうのは、女性にとって大きな悩みのひとつ。ニキビがあるだけで気になって気分が落ちてしまったり・・・
意外に知られていませんが、ニキビができる原因はピルが予防に役立つのです。
ピルはこの働きを抑えて肌の調子を整え、毛穴の詰まりや炎症を防いでくれます。いつでもなめらかでキレイな肌は、ホルモン管理で手に入るかもしれません。
生理と予定の重なり
旅行やイベントに限って生理が重なってしまい、楽しめなかった経験はありませんか?生理が急に来てしまうと、予定を変更しなければいけないことも・・・
生理は仕方ないものだと思っている方も多いのですが、ピルを使えば、事前にホルモンを調整して生理日を前後にずらすことができます。生理の時期をある程度コントロールしやすくなるだけで、多くの不安が解決されるでしょう。
子宮内膜症の不安
子宮内膜症と診断されると、生理が来るたびに将来妊娠できないかもしれないと不安になり、とてもつらい日々が続きますよね。ピルを服用することで子宮内膜症の悪化や再発を防げる可能性があります。
未来の不妊リスクを高めてしまっているのではと不安を抱えたまま過ごすよりも、治療の一環としてピルを取り入れることで、将来への安心にもつながります。
授乳中の避妊
二人目はまだ考えていないけど、もし妊娠したらと授乳中に不安になる方もいるかもしれません。特に出産後は生理が不安定で、いつ妊娠する可能性があるのかもわかりませんよね。そんな方のために、授乳期でも使用できるピルが存在します。
授乳期に使用できるピルは、母乳への影響が出にくいとされています。子育て中も自分の身体を守りながら、計画的なライフスタイルを保ちやすくなるでしょう。
女性の悩みに寄り添うピルの効果
ここまで見てきたように、女性特有の悩みはピルで改善できる可能性があります。では、なぜピルがこうした症状に効果を発揮するのでしょうか。それはピルが女性ホルモンの働きをコントロールし、身体のリズムを整えてくれるためです。ここからは、具体的にどんな作用がどのような効果につながるのかを見ていきましょう。
避妊
妊娠を望まないときに、もっとも安心して使える避妊方法のひとつがピルです。数ある避妊方法の中でも、ピルには99.7%の成功率をほこる非常に高い避妊効果があります。
妊娠は排卵で卵子が放出され、精子と出会って受精し、子宮内膜に着床することで成立します。そして、生理周期は身体の状況によって変動することも多いもの。「今は妊娠しない期間だから」と避妊を怠った場合、望まぬ妊娠に悩むことになるかもしれません。
ピルを服用することで排卵そのものを抑えるだけでなく、子宮頸管の粘液を変化させて精子を通しにくくし、子宮内膜を薄くすることで着床を防ぐ効果も期待できます。ピルはこの三重の仕組みにより、高い避妊効果をもたらすのです。
PMS/PMDD
生理前に気分が落ち込み、涙が止まらなくなったり、強いイライラや食欲の暴走、ひどい眠気に悩まされる場合、ピルが有効な助けとなります。
原因は、排卵後に急激に増えるホルモン変動。このホルモンが自律神経や脳の働きに影響し、感情のコントロールが難しくなったり、身体に強い不調が現れたりします。そのため気分の落ち込みだけでなく、過眠や過食、対人関係のトラブルといった問題につながるのです。ときに「もう無理・・・」と感じるほど重くなることもあり、これはPMDDと呼ばれ、精神科での診察が必要になるケースもあります。
ピルを服用するとホルモン分泌が一定に保たれるため、この急激な変化がやわらぎ、気持ちや身体の波が落ち着くことで、生理前でも普段に近い状態で過ごせるようになります。
生理痛改善
強い生理痛がある方には、ピルの服用が有効な選択肢です。生理痛の原因は、子宮内膜から分泌される痛み成分です。これが過剰に分泌されることで子宮の収縮が強まり、強い痛みを引き起こしています。
ピルを服用することで排卵が抑えられ子宮内膜が薄く保たれると、この物質の量は減少します。その結果、子宮の収縮がやわらぎ、日常生活に支障のでない範囲への痛みの軽減が期待できます。
また、生理痛が重い方のピル処方に関しては保険適用となり、1シート500円程度で使うことができます。生理痛は個人差が大きいものです。「生理痛はみんなあるから」と我慢せずに、婦人科に相談してみましょう。
肌荒れ
ピルは繰り返すニキビや肌荒れの改善にも役立ちます。
実はあまり知られていないことですが、ニキビの原因は男性ホルモンの作用による皮脂の過剰分泌である場合がほとんど。過剰な皮脂で毛穴が詰まってしまうと、炎症が起きてニキビになります。この男性ホルモンの作用を抑える働きがあるピルを選ぶことで、ニキビや脂性肌改善が期待できるのです。
またニキビができていなかったとしても、肌のざらつきやキメの荒さも、この皮脂の過剰分泌が原因の場合も多くあります。ピルを服用してホルモンの働きを安定させることで、肌がなめらかになる方は多くいますよ。
生理移動
大切な予定と生理が重ならないようにできるのも、ピルの大きなメリット。
通常、生理は体内ホルモンの増減によって自然に起こるため、自分で日程を変えることはできません。しかしピルを用いると、人工的にホルモンの周期を調整でき、月経開始日を前後にずらすことが可能です。
生理日移動には中用量ピルなど特別な処方を用いるため、数日間だけ服用して調整させることができます。そのため、普段ピルを飲んでいない女性も特定のイベントのときだけ生理を避けることが可能なのです。
旅行やイベントと生理が重ならないようにコントロールできるので、安心して予定を立てられますね。
子宮内膜症予防
子宮内膜症の悪化や再発を防ぐ方法としても、ピルは有効な選択肢のひとつ。子宮内膜症は女性ホルモンの影響で子宮内膜が過剰に増え、生理のたびに炎症を起こして進行する疾患。
結果として卵巣や卵管が癒着して卵子や精子の通り道がふさがれたり、子宮の環境が変わって受精卵が着床しにくくなったりすることで、不妊の原因になってしまうことがあります。
そこでピルを服用すると、排卵と内膜の増殖が抑えられ、子宮内膜症の進行を防ぐのに役立ちます。さらに連続的に服用して生理の回数を減らす方法もあり、そもそも内膜が育つ回数を減らすことで、子宮内膜症の悪化を予防するという使い方もあるのです。
授乳中の避妊
出産後はいつ排卵が起こるか予測ができず、妊娠を望まない方には不安な時期となります。
しかし授乳中でも安心できる避妊方法として、ピルという選択肢があるのです。
ただひとつ注意が必要なのは、一般的に使われる低用量ピルの多くは女性ホルモンを含んでいるため、母乳の分泌量を減らしてしまう可能性があるという点です。そのため、授乳期には通常のピルは推奨されません。
一方で、「ミニピル」と呼ばれる特別なピルであれば、母乳の分泌に大きな影響を与えにくいとされています。排卵を抑え、子宮内膜を安定させる作用は持ちながら、授乳中でも使える安全性が認められているのです。このため授乳期であっても、特別なピルを使うことで安心して避妊をすることができるのです。
ピルの種類と薬剤の特徴をわかりやすく解説

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ここまで、ピルがどのように身体に作用して女性特有の悩みを改善していくのかを見てきました。避妊や生理痛、PMS、肌荒れ、子宮内膜症の予防など、多くの不調に効果を発揮することがお分かりいただけたと思います。
しかしただ「ピル」とひとことで言っても種類はさまざまで、どれを選べば自分の悩みに合うのか分かりませんよね。そこでこの章では、ピルをいくつかのカテゴリに分け、それぞれの薬剤が持つ効果や副作用、服用の仕方をわかりやすく整理しました。表を見ながら自分に合ったピルのイメージを具体的につかんでいきましょう。
まず、ピルには4つの種類があり、大きく「低用量ピル」「超低用量ピル」「中用量ピル」「アフターピル」に分けられます。それぞれ目的や使い方が異なるため、自分のライフスタイルや体質、抱えている悩みに合わせて選ぶことが大切です。
低用量ピル
| 用量 | 名前 | 主な効果 | 起こりやすい副作用 | こんな方におすすめ | 値段 |
|---|---|---|---|---|---|
| 低用量ピル(1相性) | ファボワール28、マーベロン28、ラベルフィーユ28 | 避妊/生理痛改善/PMS・PMDD軽減/肌荒れ改善 | 吐き気・頭痛・不正出血・血栓リスク | 避妊目的、生理痛軽減、PMS対策、肌荒れ改善を望む方 | 2,000 〜 3,500円程度 |
| 低用量ピル(3相性) | トリキュラー28、アンジュ28 | 避妊/自然な周期に近くPMS・PMDD軽減 | 吐き気・頭痛・不正出血・血栓リスク | ホルモン変動を段階的に調整したい方、PMS軽減を目的に1相性ピルを服用し合わなかった方 | 2,500 〜 3,000円程度 |
| 低用量ピル(保険適用) | フリウェルLD、フリウェルULD | 子宮内膜症の進行・再発予防/強い生理痛改善 | 吐き気・頭痛・不正出血・骨量低下(長期使用で注意) | 生理痛がひどい、病的な月経困難症・子宮内膜症などの治療目的 | 保険適用時:約300 〜 1,000円前後 |
ピルの中で日本で最もよく使われているのが、低用量ピル。避妊効果はもちろん、生理痛や生理前の不調、肌荒れの改善にも役立ちます。
身体のリズムを安定させて排卵を抑え、子宮の内側を厚くなりにくく保つことで効果を発揮してくれるのです。飲み始めに吐き気や頭痛、不正出血といった副作用が出ることもありますが、人によっては続けるうちに落ち着いていくことも。
毎日同じ時間に1錠を飲むのが基本で、続けることで安定した効果が得られます。妊娠を防ぎたい人はもちろん、生理にまつわる悩みを幅広く改善したい人におすすめです。
※低用量ピルには「1相性」と「3相性」があります。1相性は全期間同じホルモン量で、飲み忘れに強く安定した効果があります。3相性は周期に合わせて量が変化し、自然なリズムに近づけられるのが特徴です。
※低用量ピルは基本的に避妊目的では自費ですが、月経困難症や子宮内膜症の治療には保険が適用されます。保険が使えると1シートあたり約500〜1,000円と安く、長期的にも経済的です。ただし処方には診断が必要で、定期的な検診や副作用チェックも行われます。
ファボワール
| 薬剤名 | ファボワール28 |
| 用量 | 低用量ピル |
| 特徴 | 日本でよく処方される定番ピル。ジェネリックで安価。 |
| 効果 | 避妊、生理痛改善、PMS軽減、肌荒れ改善、生理周期の安定化 |
| 主な副作用 | 吐き気、頭痛、不正出血、血栓リスク |
| 服用方法 | 28日周期で毎日1錠(21日服用+7日休薬 or 28錠タイプ) |
マーベロン
| 薬剤名 | マーベロン28 |
| 用量 | 低用量ピル |
| 特徴 | ファボワールの先発薬。ニキビ改善の効果が強め。 |
| 効果 | 避妊、PMS改善、生理痛軽減、ニキビ改善 |
| 主な副作用 | 吐き気、乳房の張り、血栓リスク |
| 服用方法 | 28日周期で毎日1錠 |
ラベルフィーユ
| 薬剤名 | ラベルフィーユ28 |
| 用量 | 低用量ピル |
| 特徴 | ファボワールやマーベロンと同系統のジェネリック。 |
| 効果 | 避妊、生理痛改善、PMS軽減、肌荒れ改善 |
| 主な副作用 | 吐き気、頭痛、血栓リスク |
| 服用方法 | 28日周期で毎日1錠 |
トリキュラー
| 薬剤名 | トリキュラー28 |
| 用量 | 低用量ピル |
| 特徴 | ホルモン量が3段階で変化、自然なリズムに近い。 |
| 効果 | 避妊、PMS改善、生理周期の安定化 |
| 主な副作用 | 吐き気、頭痛、不正出血、血栓リスク |
| 服用方法 | 28日周期で毎日1錠(色の違う錠剤を順番に服用) |
アンジュ28
| 薬剤名 | アンジュ28 |
| 用量 | 低用量ピル |
| 特徴 | トリキュラーのジェネリック。 |
| 効果 | 避妊、PMS改善、生理周期の安定化 |
| 主な副作用 | 吐き気、頭痛、不正出血、血栓リスク |
| 服用方法 | 28日周期で毎日1錠 |
超低用量ピル
| 用量 | 名前 | 主な効果 | 起こりやすい副作用 | こんな方におすすめ | 値段 |
|---|---|---|---|---|---|
| 超低用量ピル | ドロエチ配合錠、ヤーズフレックス | 避妊/PMS・PMDD改善/肌荒れ改善/むくみ軽減 | 吐き気・頭痛・不正出血・血栓リスク(低め) | 症状(生理痛、月経困難症など)で保険適用の可能性あり | 2,000〜3,000円前後 |
低用量ピルよりもさらに成分の量が少ないタイプが超低用量ピル。身体への負担が軽めなので、副作用が心配な人にも向いています。ただ、不正出血はやや起こりやすいという特徴もあります。
避妊や生理痛の改善といった効果はしっかりありますが、飲み忘れに弱く、毎日きちんと同じ時間に飲むことが大切。副作用をできるだけ少なくしながら、生理のつらさや気分の波をやわらげたい人におすすめです。
ドロエチ配合錠
| 薬剤名 | ドロエチ配合錠 |
| 用量 | 超低用量ピル |
| 特徴 | むくみや体重増加が少ない。ヤーズのジェネリック。 |
| 効果 | 避妊、PMS・PMDD改善、肌荒れ改善、むくみ軽減 |
| 主な副作用 | 吐き気、頭痛、不正出血、血栓リスク(従来より低め) |
| 服用方法 | 28日周期で毎日1錠 |
フリウェルLD
| 薬剤名 | フリウェルLD |
| 用量 | 低用量ピル(治療用につき保険適用) |
| 特徴 | 子宮内膜症治療に用いられる。 |
| 効果 | 生理痛改善、出血量減少、子宮内膜症の進行・再発予防 |
| 主な副作用 | 吐き気、頭痛、不正出血、骨量低下(長期使用で注意) |
| 服用方法 | 28日周期で毎日1錠 |
フリウェルULD
| 薬剤名 | フリウェルULD |
| 用量 | 超低用量ピル(治療用につき保険適用) |
| 特徴 | フリウェルLDよりホルモン量がさらに少ない。副作用が出やすい人向け。 |
| 効果 | 生理痛改善、子宮内膜症予防、出血量減少 |
| 主な副作用 | 吐き気、頭痛、不正出血(LDより軽め) |
| 服用方法 | 28日周期で毎日1錠 |
ヤーズフレックス
| 薬剤名 | ヤーズフレックス |
| 用量 | 超低用量ピル(ドロスピレノン配合) |
| 特徴 | 最長120日まで休薬せず連続服用できる。PMDD治療にも実績あり。 |
| 効果 | 避妊、PMS/PMDD改善、生理痛改善、肌荒れ改善 |
| 主な副作用 | 吐き気、頭痛、不正出血、血栓リスク(低め) |
| 服用方法 | 毎日1錠。休薬は最長120日後か出血時にとる |
中用量ピル
| 用量 | 名前 | 主な効果 | 起こりやすい副作用 | こんな方におすすめ | 値段 |
|---|---|---|---|---|---|
| 中用量ピル | プラバノール | 生理移動(短期的に月経をずらす) | 吐き気・不正出血・眠気 | 生理日移動をしたい方、周期調整を行いたい方 | 4,000〜8,000円程度 |
中用量ピルは、低用量よりも成分の量が多い分、確実な効果が期待できます。そのため、生理をずらしたいときや、強い生理痛や子宮内膜症などの治療目的で使われることが多いです。
副作用としては吐き気や頭痛が出やすいため、通常は短期間の使用が中心。毎日1錠を一定期間飲む形で、医師の指導のもとで使い方が決められます。
旅行やイベントと生理が重なるのを避けたいときや、治療のために必要な場合におすすめです。
プラバノール
| 薬剤名 | プラバノール |
| 用量 | 中用量ピル |
| 特徴 | 避妊用ではなく、生理日の移動専用。 |
| 効果 | 月経開始日を前倒し/後ろ倒しできる |
| 主な副作用 | 吐き気、不正出血、眠気 |
| 服用方法 | 月経を動かしたい時期に合わせ短期服用 |
プロゲスチン単剤ピル
| 用量 | 名前 | 主な効果 | 起こりやすい副作用 | こんな方におすすめ | 値段 |
|---|---|---|---|---|---|
| プロゲスチン単剤ピル | スリンダ | 避妊(授乳中も可)/血栓リスクが低い | 不正出血・頭痛・気分変化 | エストロゲン使用不可な方、授乳中、血栓リスクを抑えたい方 | 2,000〜3,000円程度 |
プロゲスチン単剤ピルは、一般的なピルと違って成分の種類がさらに少なく、特に授乳中の方や血栓リスクが心配な方でも使いやすいのが特徴です。身体への負担を抑えながら、排卵を防ぎ、子宮の内側を安定させることで避妊効果を発揮します。
副作用としては、不正出血や気分の変化が出ることがありますが、ほとんどの場合は大きな問題なく続けられるピルです。
ただし効果を安定させるためには、毎日決まった時間に飲むことがとても重要。数時間の飲み忘れでも効果が弱まる可能性があるため、注意が必要です。授乳期でも安心して避妊したい方、通常のピルで副作用が出やすい方、血栓リスクを避けたい方はこちらを選びましょう。
スリンダ
| 薬剤名 | スリンダ |
| 用量 | プロゲスチン単剤ピル(ミニピル) |
| 特徴 | エストロゲンを含まない。血栓リスクが少なく、授乳中も使用可。 |
| 効果 | 避妊(授乳期も可)、子宮内膜の安定化 |
| 主な副作用 | 不正出血、頭痛、気分変化 |
| 服用方法 | 毎日同じ時間に1錠を継続服用 |
アフターピル
| 用量 | 名前 | 主な効果 | 起こりやすい副作用 | こんな方におすすめ | 値段 |
|---|---|---|---|---|---|
| アフターピル | レボノルゲストレル | 緊急避妊 | 吐き気・嘔吐・頭痛・不正出血・下腹部痛・倦怠感 | 避妊失敗時/緊急に対応が必要なとき | 4,000〜12,000円前後 |
アフターピルは、避妊に失敗したあとに妊娠を防ぐための緊急避妊用ピル。性交後できるだけ早く、72時間以内に服用することで、排卵や着床を防ぐ効果があります。
副作用として一時的に吐き気や頭痛、不正出血が出たり、生理の時期がずれることがあります。
飲み方としては普段から毎日飲むものではなく、必要なときに1回だけ服用するタイプ。コンドームが破れた、避妊をしなかったといった「もしも」のときに頼れる方法です。
レボノルゲストレル錠
| 薬剤名 | レボノルゲストレル錠 |
| 用量 | 緊急避妊薬(中用量に分類されることもあり) |
| 特徴 | 避妊に失敗した場合に服用する緊急避妊用のピル。 性行為後72時間以内に服用すると高い効果を発揮し、早ければ早いほど成功率が高い。 |
| 効果 | 排卵を抑制・遅延させる/受精や着床を妨げることで妊娠を防ぐ |
| 主な副作用 | 吐き気、頭痛、不正出血、倦怠感、生理周期のずれ |
| 服用方法 | 性行為後72時間以内に1回1錠を服用(24時間以内の服用が最も効果的) |
あなたのお悩みに合うピルの選び方

ここまでで、ピルがなぜ効くのかという仕組みと、主な種類を整理してきました。では、実際にあなたのお悩みに合うピルを見ていきましょう。ここからは、よくあるお悩みに適したピルをご紹介していきます。
安心して避妊をしたい
「避妊に失敗していたらどうしよう・・・」と毎月不安になってしまう方には、まずは低用量の1相性ピルが基本です。
- ファボワール28
- マーベロン28
- ラベルフィーユ28
- トリキュラー28
- アンジュ28
これらは日本で最も多く処方されており信頼性が高く、正しく服用した場合、避妊効果はほぼ100%に近い水準とされています。ピルは排卵を止めるだけでなく、精子が子宮に入り込みにくい状態を作り、受精卵が着床しづらくする三重の働きを持っています。毎月の生理への不安から解放され、安心して生活できるようになりますよ。
生理前の気分の落ち込みやイライラに困っている
「生理前になると涙が止まらない」「パートナーにきつく当たってしまう・・・」そんな心の乱れに悩む方には超低用量ピルがおすすめです。
- ヤーズフレックス
- ドロエチ配合錠
PMSやPMDDは、排卵後に急激に変化するホルモンのせいで自律神経や脳に負担がかかり、気分や体調のコントロールが難しくなることが原因。これらのピルはホルモンを安定させることで、この乱れを穏やかにしてくれます。結果として、気持ちの波が小さくなり、生理前でも普段どおりの自分を保ちやすくなるでしょう。
特にヤーズフレックスは、最長120日間連続して服用できるため、生理を「3ヶ月に1回」のペースまで減らすことができます。毎月やってくる不調がそもそも起こる回数を減らせるので、PMSや生理痛に振り回される日々がぐっと少なくなり、心も身体も余裕を持って過ごせるようになるピルです。
生理痛がつらい
「鎮痛薬を飲んでも動けない」「予定をキャンセルするしかない・・・」そんな強い生理痛に悩む方には、保険適用の超低用量ピルがおすすめです。
- フリウェルLD
- フリウェルULD
これらは月経困難症や子宮内膜症の治療薬として広く使われており、診断がつけば保険が適用されるため、1シートあたり数百円程度と経済的に続けやすいのが特徴です。
服用することで子宮内膜が薄く保たれ、子宮の収縮がやわらぎ、生理痛の原因である痛み成分が減少します。その結果、痛みがぐっと軽くなり、生理中でも日常生活を続けやすくなるのです。
繰り返す肌荒れやニキビに悩んでいる
「大事な日に限ってフェイスラインにニキビが出て気分が落ち込む・・・」そんな悩みには男性ホルモンの働きを抑えるピルがおすすめ。
- マーベロン28
- ファボワール28
- ラベルフィーユ28
- ドロエチ配合錠
これらのピルは、男性ホルモンの作用を抑えて皮脂の過剰分泌を防ぎます。皮脂が減ることで毛穴の詰まりや炎症が起こりにくくなり、繰り返すニキビを防ぎながら、なめらかな肌へと導いてくれるでしょう。
大事な予定に生理を被せたくない
「この旅行には絶対に生理を被せたくない・・・!」という方は、中用量ピルを短期間で服用しましょう。
- プラバノール
プラバノールを短期間だけ服用することで、生理日を一時的に前にずらしたり、後ろに延ばしたりすることができます。大切な試験の日や、楽しみにしていた旅行、温泉などの予定に生理が重なってしまう心配がなくなり、安心して当日を迎えられるようになりますよ。
子宮内膜症の症状の緩和に
「子宮内膜症と診断されてから、生理のたびに「将来妊娠できるのかな・・・」と不安になる方には、子宮内膜の増殖を抑えるピルがおすすめ。
- フリウェルLD
- フリウェルULD
- ヤーズフレックス
これらのピルは子宮内膜の増殖を抑え、排卵の回数を減らすことで進行や再発を防ぎます。ヤーズフレックスのような連続服用できるタイプを選べば、生理自体を減らして悪化を防ぐ効果も期待できます。症状の進行を抑えてくれるだけでなく、不安な気持ちにも寄り添ってくれるピルです。
授乳中でもピルによる避妊をしたい
「二人目はまだ考えていないけど、母乳への影響も心配・・・」という方でも使えるピルがあります。
- スリンダ
授乳中に一般的な低用量ピルを使うと、母乳の分泌量が減ることがあります。しかしスリンダなら母乳に影響を与えにくく、授乳中でも安心して避妊をすることができます。
避妊に失敗してしまった
「避妊に失敗してしまった・・・!」そんな方は、アフターピルをできるだけ早く服用しましょう。
- レボノルゲストレル錠
性行為後できるだけ早く(72時間以内)服用することで、排卵を遅らせたり受精・着床を防ぐなど妊娠の回避が期待できます。早いほど有効性が高まりますので、万一のときにはできるだけ早く服用することが大切です。
ピルの効果と副作用について
ここまで目的別に選びやすいピルを紹介してきましたが、これはあくまで目安であり、効果や副作用の出方には個人差があります。実際には飲んでみないと分からない部分もありますが、副作用が出たからといって諦める必要はありません。
ピルを服用して、自分には合わなかったと感じる人もいるでしょう。だからといって、ピル全般が合わないわけではありません。種類や世代を切り替えたり、飲み方を少し調整したりすることで、快適に続けられる可能性は十分にあります。
また、副作用は「我慢するしかないもの」ではありません。たとえば吐き気や頭痛といった症状は、医師に相談の上、対処薬(漢方など)の併用で和らげられることがあります。
さらに「ピルを飲むと太るのでは?」と心配する声もありますが、医学的にはピルそのもので脂肪が増えることはないとされています。実際に体重増加を感じる場合、その多くは一時的なむくみによるものが考えられます。塩分の摂り方や生活習慣の工夫、医師の管理下での処方薬を用いることで改善も見込めます。
まとめ
どのピルを選べばよいか迷う方は多いですが、大切なのは「種類がたくさんあるからこそ、試していけば自分に合うものが見つかる」ということ。副作用や効果の出方には個人差があり、一度合わなかったとしても、種類を変えることで快適に続けられる可能性があります。
また、今は病院に行かずともオンライン診療で相談できる時代です。通院の手間なく相談したい方は、Your Pillのオンライン診療をご検討ください。症状・副作用の相談から薬の切り替えまで、スマホで完結します。
ピルは避妊だけでなく、生理痛やPMS、肌荒れなど、日常のさまざまな悩みに対応できる有効な選択肢です。無理に我慢せず、上手にピルを取り入れて快適な生活を手に入れましょう。
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